老人ホームなど入居型の介護施設に勤める介護職は、多くの場合夜勤を免れません。夜勤では、施設利用者の容態の急変や火事などの緊急事態に備えて見守りや巡回を行います。介護職の夜勤は仮眠が認められないことがほとんどで、肉体的負担が大きいといえるでしょう。夜勤があると、生活のリズムが狂って昼夜逆転しやすく、体調を崩しやすいからです。また、夜勤の間は介護職の人数も少なくなり、1人当たりの責任も大きく、緊張感や心理的負担も増加します。万一利用者の容態に深刻な事態が生じたら、救急車が来るまで蘇生措置を施すなど重大な責任を負うことになるのです。
慢性的な人手不足に悩まされる介護の現場では、特に夜勤担当者が足りず、迂闊に休めないという事情もあります。夜勤明けの休みは、昼間熟睡せず、軽く仮眠を取ったら夜まで起きているよう我慢するなどの工夫が欠かせません。介護業界では、AIやITを導入して動体探知センサーなどを設置し、介護職の夜勤の負担を減らす取り組みが始まっています。もっとも、夜勤を担当した介護職には1回につき5000円から1万円程度の夜勤手当が付くので、給与が増えるというメリットはあります。夜勤明けは休みになり、平日昼間に休み連休を作りやすくなるという点も夜勤の長所と言えるでしょう。
介護職は負担の大きい夜勤を避ける傾向があり、逆に夜勤を厭わない介護職は求人先に困らないというメリットも挙げられます。中には夜勤専門という介護職の働き方もあるのです。